今回は最近あちこちで耳にするようになった「GAY(ゲイ)」という言葉について取り上げてみました。というのも、英語圏の国と日本では少し解釈が違う部分があるんです。
海外に行ったときや英語ネイティブと話すときにはご注意ください、ということで記事にしてみました。
※ここで書いているのは海外の事情についてなので、日本とは多少異なる面があることをご留意ください。
「GAY=ゲイ」は男性だけを指すものではなかった
日本では「ゲイ」は男性の同性愛者を意味する言葉のように通用していますが、英語圏の国々では決して男性同性愛者だけを指すものではないってことを知ってました?
というのも、女性に対しても「GAY」という表現を使うからなんです。
<日本における表現>
男性の同性愛者=ゲイ
女性の同性愛者=レズビアン。しかし欧米では「ゲイ」は女性に対しても使う
<欧米式の正しい表現>
男性の同性愛者 —–>ゲイ男性
女性の同性愛者 ——>レズビアンまたは「ゲイ女性」
しかし、日本では最初に挙げた「ゲイ=男性同性愛者」の認識の方が普及してしまっているし、間違いとも言えないのでとりあえず現状維持でいいんじゃないですかね~
ここで指摘したことについては補足のトリビアとして頭の片隅にでも入れておいていただければと思います。英語ネイティブと話すときはGAYの表現に注意してください。
「GAY」の本来の意味
参考にケンブリッジ英英辞典で見てみると、「GAY」の正式な意味は次のようになっています。
GAY(形容詞)
sexually or romantically attracted to people of the same gender and not to people of a diffrent gender:
(性的あるいは恋愛感情によって、異性ではなく同性に惹かれること)。
上に書かれているように性別についての限定はありません。「GAY」自体は形容詞なので「Mary is gay.」のような使い方になります(「she is beautiful.」みたいに)。
じゃあ「男性の同性愛者はなんと呼べばいいの?」というときは下のようになります。
女性の同性愛者は「GAY WOMAN/ FEMALE/PERSON等」となりますが、「LESBIAN=レズビアン」という名詞の方が一般的になっています。
たぶんこれが「GAY」の本来の使い方について日本では知られていない原因のひとつなのではとも思いました。
下の例文を見てみるとGAYとLESBIANの文法的な違いがよくわかると思います。
使用例 「GAY MEN and LESBIANS.」
蛇足:「レズビアン」の語源は古代ギリシャから
ギリシャのエーゲ海東部に浮かぶ島「レスボス島」が語源になっています。けっこう大きな島で、現在はギリシャの主要な観光地のひとつになってます(下の画像だとあんまりよくわかりませんよね^^;)。
紀元前の頃から栄えていた主要な島で、紀元前6~7世紀には歴史に名を残すような芸術家、音楽家、詩人etcを多く輩出しています。
古代ギリシャ最高の女流詩人と言われる「サッフォー」もこの島の出身でした。
当時、彼女が現地の貴族の娘たちばかりを集めて詩や音楽を教えていたせいで同性愛者ではないかと噂されたことから「レズビアン」という言葉が生まれました。
すごーく歴史の古い言葉だったんですね。そう考えると印象も少し変わるかもしれませんね。
「HOMOSEXIAL(ホモセクシャル)」も男女とも使う
「ホモセクシャル」も男性同性愛者を指す言葉として日本では通用していますが、英語圏では男女どちらに対しても使います。名詞形と形容詞形が同じなのでご注意。
HOMOSEXUAL(名詞)
a person who is sexually attracted to people of the same sex
=同性に対して性的に惹かれる人たち
HOMOSEXUAL(形容詞)
sexually attracted to men if you are a man and women if you are a woman:
=自分と同じ性別の人に性的に惹かれること
「同性愛」は英語だと「HOMOSEXUALITY(名詞)」になります。
余談ですが、同性愛の反対語の「異性愛(異性に惹かれること)」は「HETEROSEXUAL=ヘテロセクシャル」あるいは「STRAIGHT=ストレート(informal)」になります。
日本ではOKでも海外ではNGな「GAY」という表現
日本では「ホモ」は男性同性愛者の軽蔑的な呼称として見られているので「ゲイ」が使われることの方が多いですが、これも英語圏では使用に注意する必要ありだと思います。
自分の経験から英語ネイティブの感覚は日本人のそれとはまったく違うと思ったからです。
なぜかというと、以前に通っていた英語スクールの英国人講師に「英語ではGAYは差別的な表現になる。使うならHOMOSEXUALにするべきだ」と言われたことがあります。
その人は大卒のインテリできちんとした人だったので、信憑性のある話だと思います。これを読んだ方はぜひ拡散してくださいませ。
このことについてCAMBRIDGE DICTIONARYには下のような解説が載っていました。
「HOMOSEXUALは主に医学論文等のフォーマルな論文に使われる言葉で、一般的な状況下ではよりカジュアルな表現のGAYやLESBIANを使うことを好む人が多い」
・・・とのことなので「使う相手やTPOによって言葉を選びましょう」ということではないかと思います。
友達同士で話すときならいいかもしれませんが、大学教授を相手に「gayが~」なんて言ってしまったらちょっと頭のレベルを疑われるようなことになるのかもしれませんね。
今回挙げたような「こんなはずではなかった」と思うような和製英語の解釈の違いによる「文化的なズレ」は他にもたくさんあると思います。
ネイティブスピーカーに対して使う言葉は、きちんと本来の英語の意味を調べてから使うクセをつけることをオススメします。
【まとめ】「ゲイ」と「ホモセクシャル」の解釈の違いに注意
日本では「GAY=ゲイ」は男性の同性愛者に対して使われていますが、英語圏諸国では女性に対しても「Mary is gay.」のように使います。
「GAY」そのものは形容詞なので、男性の同性愛者の場合は「gay man/ male/ person」等が本来の言い方になります。
もうひとつの男性同性愛者を意味する「ホモセクシャル(日本では「ホモ」で使われる)」も英語圏では男女どちらにも使われる表現です。
同性愛は英語では「HOMOSEXUALITY(名詞)」になります。
英語ネイティブの中には「GAYは差別的な表現なのでHOMOSEXUALを使うべきだ」という人もいます。
もともと「HOMOSEXUAL」は学術論文のようなフォーマルな場で使われるような表現な一方、「GAY」はよりカジュアルな表現にあたりこちらの方を好んで使う人も英語圏では多いというのが現状のようです。
個人的には「それぞれの言葉はTPOに応じての使い分けが必要なのではないか」という印象です。
日本ではそこまでストリクトに構える必要はないのかもしれませんが、英語ネイティブと話すときはこの記事で挙げた点にご注意くださいませ。
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