【魅惑のアルジェリア音楽】RAI-なぜ日本でバズらない?!洋楽好きに超オススメなライ

【魅惑のアルジェリア音楽】RAI-なぜ日本でバズらない?!洋楽好きに超オススメなライ

ワールドミュージックが好きでアラブ中近東系をよく聴いてますが、ちょっと前からふとしたきっかけで知ったアルジェリア音楽のRAI(ライ)にはまってます。

「アルジェリア?日本で聴いてる人なんているんか?」ってほどマイナーですが、これがすごいクオリティ高くて聴きやすいんです。

日本でもバズってほしいなあ~・・・ 知らないなんてモッタイナイですよ。
目新しい音楽を探してる方は要チェック。

日本でもバズらせよう、アルジェリアのRAI!
この機会にお見知りおきを♪

RAI=ライってどんな音楽?

アルジェリア第2の都市であるオランが発祥のモダンスタイルのアルジェリア音楽です。

欧米のロック、ラテン、レゲエといった様々な音楽の要素をアルジェリア土着の音楽に加えた、いわば異文化クロスオーバー・ミュージックです。

ミュージシャンのレベルも高く、一言でいえばあか抜けてて聴きやすく踊りたくなるような音楽。

そして適度に外国人が楽しめるエキゾチックなアラブ独特の異国情緒を感じさせてくれる音楽がライです。

あっさり軽めな心地良さ♪

個人的に同じアラブ音楽でもエジプトやレバノンの音楽はアクが強すぎて、聴いててしんどくなってしまうことも多いんですが、ライにはそういった強いアクやクセはないです。

エジプトの音楽がコテコテ、グリぃ~すぃ~な煮込み肉料理だとしたら、アルジェリアのライはあっさりヘルシーな「カフェごはん」てとこでしょうか^^;

歌詞がアラビア語だからとっつきにくい、なんてこともありません。
欧米のヒット曲と同レベルで聴けます。
実際にライのアルバムがフランスのチャートで1位を獲ったりもしています。

バラエティ豊かな音楽性

音もアーティストの表現スタイルによっていろいろなので、音楽性は本当にバラエティ豊かな感じです。最近ではクラブやラップ色が濃いものも多いです。

伝統的なスタイルを継承している人もいるし、若手のアーティストだとヒップホップやクラブミックス色を強く打ち出した人たちもいるといった感じです。

RAI(ライ)の語源と意味

ちなみにRAIという言葉の意味ですが、元々アラビア語にあった単語ではなく特別な意味もありません。

初期の頃に歌われていた、歌の合間に入るシンガーの「合いの手」の掛け声が語源になってできた新しい言葉だそうです。

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奥が深くて複雑なRAIの歴史

今でこそ耳には心地いいライですが、その音楽が生まれた背景や現在までの歴史をたどってみるととても複雑な事情を持っていることがわかります。

アルジェリアがこれまで歩んできた何世紀にもわたる複数の国からの植民地支配や、現地の保守的なイスラム社会との確執etcとも合わさって一言では語りつくせないようなものになっています。

そしてそれはライを語るうえでは決して無視できないものになっています。

イスラム保守派・原理主義者との確執、命がけの音楽活動

アルジェリアはイスラム教を国教とするイスラム国家です。
イスラム教は戒律が厳しい宗教として有名ですよね。

それぞれの国によって法律や戒律の厳しさの度合いが異なるという、ちょっと自由世界の人間には理解できないようなことが多々あります。

アルジェリアはヨーロッパに近いせいもあってわりと自由な印象ですが、原理主義者のような人たちはそれなりにいます。

特に保守的なイスラム教徒にとって音楽は「魂を惑わす罪深きモノ」という認識なので、「西洋的で開放的な雰囲気を持つ」ライに対してはだいぶ風当たりが厳しくなっています。

実際に過去にはイスラム原理主義者による有名ライ・アーティストが射殺される事件も発生しています。

物知りナツ

物知りナツ

’94年9月に人気歌手のシェブ・ハスニが、オランで過激派に射殺されたことは、当時のアルジェリア社会に大変なショックとパニックを起こしたんだよ。
その翌年にもライの有名なプロデューサーが同じオランで暗殺されてるんだって。

そしてこの事件を機にアーティストたちもフランスを始めとする欧米諸国へ活動の拠点を移すようになりました。そういうわけで、ライ・アーティストの多くはフランスに住んで活動しています。

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脈々とRAIに受け継がれる精神

ライの前身ともいえる音楽が生まれたのは1920年代。
現在のモダンスタイルとはだいぶ違うものでしたが、ライが生まれた当初のスピリットは今も変わっていません。

それは、社会の不平等に対する疑問や反骨精神といった類のものです。

現代のRAIアーティスト達にもこの精神が受け継がれていて、社会的な問題を題材にした歌は多いです。

RAIの生まれた街「Oran=オラン」

次にライと切っても切れないのが、その発祥の地であるアルジェリア第2の都市のOran(オラン、英語名はWahran=ワハラン)です。

オランとはアラビア語で「2頭のライオン」という意味で、遠い昔にはこの辺りにライオンがいたことからきています。

画像出典元:https://ja.wikipedia.org/

アルジェリアの「Little Paris=リトル・パリ」

ライの土台ともなる音楽が生まれた当初の頃のオランは今とはだいぶ雰囲気が違っていて、アルジェリアの中でも特異な気質を持った街でもありました。

まだフランス統治下にあった第一次世界大戦直後のオランは、「リトル・パリ」と呼ばれ様々な文化が混在する自由な雰囲気の街でした。

そしてナイトクラブやキャバレーが軒を連ねる夜遊びの街としても有名でした。

こういった街の気風が多くのアーティストやミュージシャンを引き寄せていました。

①アルベール・カミュの小説「ペスト」の舞台になった。
②フレンチ・デザイン界のレジェンド、イヴ・サンローランの出身地

初期のライは反社会的なものだった

こういったバックグラウンドから派生した音楽なのですが、当時の常識的な人々にとってはその頃に演奏されていた、ライの前身と言われる音楽は理解しがたいものだったようです。

「伝統を無視したような猥雑な音楽に合わせて繰り出される、眉をしかめたくなるような内容の歌詞が延々と続く、とても常識人には理解できない低俗な歌のようなモノ」程度の認識でした。

しかし、その一方で植民地時代に失われてきたイスラムの伝統と価値を再認識して原点に立ち戻ろう、という新しい価値観に目覚めた若い世代には共感を持って迎え入れられました。

時代は違いますが、英国でビートルズやパンク・ロックが最初に登場したときもライと同じような現象が起こりましたよね。
いつも新しい文化の価値を発見するのは、若い世代というのは世界共通なんですね。

その後に何度も新しい試みがライに加えられながら、今日のようなバラエティ豊かなモダンスタイルへと変化していきました。

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「Raiの母」シーハ・リミティと
アルジェリアの国民的音楽「Gasba(ガスバ)」

現在のライを語るのに決して無視してはいけないアーティストがいます。

それは「Raiの母」と呼ばれて、没後15年以上経つ現在でもアルジェリア内外から多くの敬愛と尊敬を集めるCheikha Rimitti(シーハ・リミティ、1923-2006)です。

「ガスバ」と呼ばれるその音楽は現在でもアルジェリア国民の間で絶大な人気を誇っていて、リミティ自身もロバート・フリップや レッド・ホット・チリペッパーズといった欧米のアーティストとコラボした作品を残しています。

歌もさることながらそのいで立ちも超個性的な人で、生涯家を持たずにずっとホテル暮らしを続けたといったいろいろな逸話が残されています。

下の動画のパフォーマンスは晩年のものなのでライの前身となった当時のものとは多少違っているかも知れないですが、基本スタイルは変わってないと思います。

独特の音色の縦笛Gasba(ガスバ)と低いボーカルの絡む、歌というよりは呪文にしか聞こえないような^^;音楽です。

日本の尺八を思わせるような渋い音色じゃあありませんか?!

このタイプの音楽は正式には「ガスバ・ミュージック」と呼ぶようですが、現地ではシンプルに「ガスバ」で通用するようです。

ガスバは現在でも絶大な人気を誇っていて、アルジェリアの庶民文化を語るうえで欠かせないものといった印象を受けます。

「青空の下、ガスバの生演奏に合わせて踊り狂う老若男女」といった動画がyoutubeにたくさんあがっています。

ライに関する情報を集めるには

ライの最新情報を集めようとすると、ほとんどがアラビア語かフランス語になります。
日本語の情報はほぼないし、自分で情報取ってくるしかないんですよね~・・・

一番アクセスしやすいのはYOUTUBEかと思います。

これも英語のものはレアですが、書いてあることがわからなくても映像見れば大抵のことは判断できます。
再生回数とかコメントの数でそのアーティストの人気度ぐらいはわかると思います。

「algerian rai」や「rai」で検索すればいろいろ見つかるので、そういったものを利用してお気に入りのアーティストを発掘していってください。

何度も見てればオススメでどんどん色んなアーティストが出てくるので、ヒントもみつかりますよ。

最新ライ情報がみつかるアプリ「NTS」は超絶オススメ!

しかし、最近になってさらに強力なツールがあることを発見!

それが現在超ハマり+激オシな「NTS」です。
イギリスのネットラジオ局ですが、ライはもちろん世界中のありとあらゆるジャンルの音楽が配信されています(スマホアプリもある)。

ライの特集もけっこう頻繁に組まれているので、超オススメ。
マイナー音楽愛好者の救世主のような存在だと思ってます。

↓ NTS公式PCサイトへは下の画像をクリック(英語のみサイトです)↓

スマホアプリは、App storeかグーグルプレイストアで「NTS RADIO」というアプリが無料ダウンロードできます。

NTSについては下のリンク記事でくわしく紹介してるので、ぜひご一読くださいマセ。

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【まとめ】その歴史を知ればさらに味わい深くなるライ

日本でもバズってほしいアルジェリア音楽「ライ」についていろいろ書いてみました。

「ライ」という言葉には特に意味はないそうです。
初期の頃に使われていた、歌の間に入るシンガーの「合いの手」みたいな掛け声が転じてそう呼ばれるようになったという説が有力です。

アルジェリア第二の都市オラン(英語名:ワハラン)で生まれた新しい世代の音楽で、アルジェリア伝統音楽にロック、ポップス、ラテンといった様々な西洋音楽の要素をmixしたもので日本人にとっても聴きやすいものです。

ライが誕生してからいろいろな試みが加えられてその表現スタイルも多種多様になっています。

アーティストによって表現方法は様々なので、現在では一言では語りつくせないようなとてもバラエティ豊かな音楽になっています。

最近ではクラブミックスやヒップホップ系のアーティストも目立ってます。

ライのバックグラウンドもアルジェリアの文化や歴史と深い関わりがあり、それらを知ることでさらにライに対する理解も深まることと思います。

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この記事を書いた人 Wrote this article

とりぞう